移民・開発に関する欧州・アフリカ閣僚会議におけるムアンマル・アル=カダフィ閣下の演説
神の御名において。
リビアにようこそ。欧州連合(EU)及びアフリカ連合(AU)による本会議の実現を称賛します。移民・開発をテーマとする本大陸間会議は、その国民に対する政府および関係機関の責任感を体現するものであります。
本会議の目的は、両大陸民に対する責務を遂行し、近年増加の途にある移民問題への懸念に取り組むことです。関連諸国は、同問題に対する善処策を模索している最中です。
長々とお話するつもりはありません。移民問題に関して、本日または別の会議で既に議論されたことを反復するつもりもありません。同問題は既に公な注目を浴びており、厳密な精査がなされています。私からは簡単に、普遍的な人間と自然の原則、人間生活の本質についてお話したいと思います。
自然に逆らう行為は、水流に逆らって泳ぐようなものです。逆流の中を泳ごうとするのは、失敗を手招きしているようなもの。そして、現代における重大な国際問題の大半は、水流に逆らって泳ぐような対処方法が取られています。よって、政治、経済、社会、安全保障面での国際問題の多くが、失敗の途を辿っているのです。自然の原則を無視すれば、このような失敗が生じます。
地球は全人類のもの、というのは理の当然です。神は全人類のために地球を創造しました。そして神は、自由に移動するようにと我々に命じています。我々は、クルアーン(皆さんが信じるかどうかは別の問題です)と呼ばれる聖典を持ち、この中で神は我々に、地球のあらゆる場所に移動せよと命じているのです。神は、地球上のどこでも行きたい場所に行くがよいと、我々に語りかけます。これは、地球が全人類のものであり、我々には生計を立てるため移住をする権利があるのだという認識であります。こうした背景から、我々は、神が全人類のために創造した地球上のあらゆる場所に移り住む権利を有しているのです。
この事実を認識しなければなりません。地球はすべての人類のものであるということを確信しなければなりません。人々は、地球のあらゆる場所に移住する権利を有しています。政治的に決められた国境や条約などは、新しい取り決めであり、自然の原則はこれに従うものではありません。
こうした新しい取り決めが、国際問題、国境紛争、国家間の戦争を引き起こしているのは、皆さま承知のことです。 僅かな領土を巡って、数百、数千という人々が、こうした争い事で命を落とします。現在、不安の元となっている懸案は、地球上における人の移動、言いかえれば移民問題にどうやって対処するかということです。この問題は、我々が作り出した国境、集団アイデンティティ、遵守が義務付けられている条約の類がもたらしたものです。こうした非自然的で人工的な取り決めを作り出したのは我々なのです。
我々にとって自然なのは、地球上の行きたい場所に移動し、そこに定住し、生計手段を探すことです。今、欧州に住んでいるのは誰でしょう?アジアからの移民です。かつて、欧州には誰も住んでいませんでした。もし移民が禁止されていたとしたら、今でも欧州に定住民はいなかったことでしょう。南北アメリカに住んでいるのは誰でしょう?彼らは別大陸から来た移民です。北米に住むのは欧州からの移民、南米に住むのは、イベリア半島、アフリカ、その他地域から移民です。これが真実です。
北アフリカに住む我々も元々は移民でした。アラビア半島から1000年前に渡ってきました。5000年前に移住した者もいます。ベルベル人と呼ばれる民族は、5000年前にアラビア半島から移住したアラブ人です。イスラム系移民と共に来たアラブ人は、この地に1000年以上住んでいます。こうした移民の流れが、現在、北アフリカに住む人々の起源となりました。
現在、先住民、彼らの権利と悲劇的な歴史、絶滅など、国際社会にて頻繁に議論されています。
この意味するところは何でしょうか?移民がある地域に定住し、その場所を占有し、先住民を劇的に減少または絶滅させたということなのです。
先住民で生き残った者は差別の対象となっており、彼らの権利を主張する国際的な抗議活動が展開されています。我々が「先住民」と言うとき、それは、オーストラリア、アメリカ、アフリカ、アジアなどの地域に移民が流入し、定住したことを意味します。現在、オーストラリアに住んでいるのは先住民でしょうか?
そうではありません。移民です。では、オーストラリアの先住民はどこにいるのでしょうか?生き残ったのは数少なく、大半が抑圧されて絶滅しています。アメリカの先住民は誰でしょうか?彼らは、アメリカンインディアンと呼ばれる人達。彼らは今どこにいるのか?殺されて絶滅しました。
移民を禁止するということは、全大陸に移住した人々の存在を禁止することを意味します。移民をすべて元来た場所に送り返さなければならない。アメリカ人はヨーロッパに帰らないといけない。
ヨーロッパ人はアジアに帰る。北アフリカのアラブ人は、アラビア半島に帰る。オーストラリアの住民は、英国、オランダ、その他の国に帰らないといけない。南アフリカの大部分を占めるボーア人は、オランダに帰らなければならないのです。
これが事実です。しかしながら、閣僚や専門家が会すると、こうしたことは度外視されます。こうした明白ながらも厄介な事実は軽くあしらわれてしまうのです。樹木の枝や葉にだけ注目し、その根元は無視する。これは破滅的な試みです。
数百万人ものアフリカの黒人が、欧州やアメリカに連行されました。今それを何故、禁止しようとするのでしょうか?これは二重の基準です。黒人が役畜として必要なときは、彼らを尊重して自国に住まわせるべきだと言う人はいませんでした。
それどころか、彼らをアフリカから連れて来るのは合法だとの主張がなされていたのです。彼らは貨物のように海上を輸送され、健康状態が悪くなれば、魚の餌として海にほうり投げられました。北米と欧州は、こうした黒人の労働力のおかげで発展を遂げることができたのです。
これは強制移民でした。一方当事者の利益のためだけに移住が強いられるという、黒人にとっての強制移住だったのです。アフリカのジャングルで、彼らは動物のように捕獲されました。しかし現在、この同じ黒人アメリカ人は、彼らの移民が問題の根源であると責められ、移住を止めるようにと迫られているのです。
この可哀そうな黒人アフリカ人は尋ねます。「移民が必要なときには私たちの祖先を連れて行き、移民が不可欠だと言ったのに、今はどうしてダメなのか?」と。こうしたことは、識字力のない多くの人々の脳裏に張り付いていることです。
こうした想いが、彼らが移民に駆り立てています。「祖先をアメリカに連れて行ったのに、今、自分の前途が阻まれるのは何故か」と疑問に思うわけです。当時、特定の人種が別の場所に移住することで、世界発展の原動力が確保されていました。
先住民は同化され、オーストラリア、太平洋と大西洋の島々に移民が流入し、各地の発展に寄与しました。移民が定住することで、全大陸が発展していきました。これこそ、識字力のないアフリカ人が疑問に思うところなのです。何故、今になって移民が禁止されるのか?これこそ、皆さんが議論する「死のボート」に彼らが乗り込む動機なのです。
最後の奴隷時代として、白人が黒人を奴隷化しました。この時代の記憶は、社会的な地位と威厳を黒人が回復するまで、彼らの記憶に鮮明に残り続けるでしょう。痛ましいながらも、この悲劇的な過去の出来事を認識し、全黒人の名誉回復により精神的な充足を果たすこと。これこそ、黒人が過去の無念を晴らし、世界を牛耳ろうとする動きの原動力となっているのです。
こうした背景を無視してはなりません。黒人関連については、自著の「緑の書」にも記述しています。本内容についてお読みになりたいという方は、緑の書の第三章をご参照ください。
地球は全人類のものです。遥か昔に移民が始まり、その後に奴隷制度が続きました。当時、奴隷として搾取しようと、人々を自国から連行することに何らの異論もありませんでした。これに植民地時代が続きます。こうした歴史的背景が、今日、移民を試みるアフリカ人の心に息づいているのです。しかし現在、誰もがこの移民に反対しています。
植民地主義により、アフリカ人やその他の被植民地国の人々は、地球は全人類のものであり、特定集団が独占的に所有できる排他的な土地は存在しないのだという考えを植え付けられました。アフリカの中心部、コンゴの人々は、ベルギー人が移住して領土を部分的に所有した後、レオポルド王が同国全域を個人的な植民地とするのを見てきました。
彼らは、外国人がジンバブエ、マラウイ、通称北ローデシア、南ローデシアに移住するのを見てきました。リビアはローマの4番目の海岸として見なされ、リビア人に、イタリアとリビアが一つの国になったのだという印象を与えました。リビアがローマの4番目の海岸であるなら、どうしてリビア人がイタリアに行くのが禁止されるのでしょうか?リビアをイタリアの「4番目の海岸」とするため、戦争までも勃発しました。それなのに今の扱いは、「いや、あなたたちは不法移民だから、ここに居場所はない。あなたはリビア人であって外国人なのだ」というもの。リビアはイタリアの「4番目の海岸」ではなかったのでしょうか?イタリア側に利益があったから移民が許されて、今度はこちらの番というときに、移住を許してもらえないのでしょうか?
最近までフランスは、アルジェリアはフランスにとって不可欠な領土だと主張してきました。フランスはアルジェリアを130年間支配しました。1830年にアルジェリアを併合し、フランスと一体化した不可分の土地と位置付けました。これにより、アルジェリア人は、アルジェリアとフランスが一つの国家になったのだという事実を受け入れたのです。
アルジェリア人がフランスに行くということは、国内を旅行するのと同じ感覚であるはずです。それを今になって、アルジェリア人に、彼らはフランスでは移民なのだと主張できますでしょうか。このようなことが許されるのでしょうか?アルジェリアはフランスの一部ではなかったのでしょうか?アルジェリアがフランス併合に反対したとき、フランスとの戦いが与儀なくされました。この争いで150万人のアルジェリア人が命を落とし、フランスと欧州は、アルジェリアがフランスにとって不可欠な領土なのだと言い張りました。
彼らは、アルジェリア人は、フランス人であり欧州人なのだと訴えかけました。それならば何故、彼らはフランスに行けないのでしょうか?
モロッコは独立国であり、アラブ連合、国連、イスラム諸国会議機構の加盟国です。セウタとメリラは地理的にモロッコ国内に所在しますが、スペインの統治下にあります。スペインとモロッコは一つの国でないと、どうやってモロッコ人に説得できるでしょうか。モロッコ人はセウタとメリラの一件を理由に、スペインとモロッコが一つの国であると見なすでしょう。モロッコ人は、スペイン国内では外国人、つまりは移民であると、彼らが納得できる訳がありません。ラバトに行くのと同じ感覚でマドリッドに行けて当然なのです。
植民地時代、アフリカの人々は、欧州とアフリカが統合されたのだと信じ込まされました。ベルギーの王はコンゴの所有者でした。そうならば、コンゴ人はベルギー王の所有物として、王つまりは所有者の土地に自由に行き来できるはずです。コンゴにいるのと同じように、ベルギーに住み、働くことができるはずです。同じことが、フランスにいるアルジェリア人にも当てはまります。リビアがローマの4番目の海岸と見なされたとき、リビア人にはローマに行く権利があって当然なはずでした。自国が英国統治下に入ったザンビア、ジンバブエ、マラウイ、ローデシアの国民は、国内を移動するのと同様に英国に行くことができたはずなのです。
スエズ運河が英国に所有されていた時期があります。エジプトの一部を英国が所有しているのに、何故エジプト人は英国に行くことができないのでしょうか?英国に住み、働くことを容認されないのでしょうか?エジプトにとって不可欠なスエズ運河を英国が所有しているなら、何故、エジプト人が英国に住む権利を拒まれるのでしょうか?エジプト領土にある運河の外国勢力による所有を認めることと、英国で働くことを求めるエジプト人を認めること、どちらのほうが難題でしょうか?
今でも、多くの国々に英連邦高等弁務官が駐在しています。インドは大英帝国の「王冠の宝石」と呼ばれていました。それならば、数百万人のインド人が英国に行けるというのが妥当ではないでしょうか? 彼らに移民のレッテルを張ることができましょうか?
欧州が火つけ役となった第一次及び第二次世界大戦で、数千万の人々が命を落としました。欠如した労働力を補完する形で、アジア人およびアフリカ人の欧州への移住が奨励されました。必要とされれば欧州に行けるのだという印象をアジア人とアフリカ人に与えたこの背景は、非常に重要なポイントです。
欧州が必要とするとき、つまり、奴隷、兵士、安い労働力が必要なときには、彼らは欧州に連れて行かれました。植民地が欲しいとなれば、彼らの国に欧州がやって来ました。
こうした歴史的かつ心理的な背景を無視することは、無知かつ浅はかな行為です。さらに、植民地時代にはアフリカの富が略奪されました。金鉱は枯渇し、地上にぽっかりとした穴を残しました。ダイヤモンド、銅、鉄鉱石、コバルト、マンガン、ホスフェートは、植民地支配国に輸送されました。
アフリカ諸国がいわゆる独立を果たした後、独自の国作りを目指した旧植民地諸国は、自国の資源が略奪されたことに気付き、奪われた資源を追い求めようとしました。名前は忘れましたが、あるフランス人作家がこう言っています。「富が人々に来なければ、人々は富がある場所に行こうとする」
もっともな発言です。富はアフリカから欧州に移されました。アフリカ人は自国領土にあった富を追いかけているのです。こうした富を自国で再生することはできません。よって、その富の投資で造られた工場に労働者として働きに行くのです。欧州とアメリカを網羅する道路ネットワーク、灌漑設備、鉄道は、彼らの祖先の努力の結実なわけで、彼らはその一部を享受する資格があると考えるわけです。
アフリカに資源を返すことができますか?できれば、 それが一番。これこそ、最初に下すべき決断です。アフリカ人が欧州に行く理由は、略奪された富の一部を享受するためなのです。その富を返してくれるなら、移民も止まるはずです。返したもらった金、ダイヤモンド、コラノキ、その他の資源を追って、皆、自分の大陸に戻っていくはずです。それが移民の終焉につながります。
マンゴー、パイナップル、カカオ、コーヒー、パパイヤといったアフリカの農産物はアフリカ人にとっては必需品ですが、欧州ではシャンプーやボディローションに使用されています。欧州人がパイナップルで体を洗う代わりに、アフリカの子供たちが食べられるよう、それらの食べ物を返せばどうでしょうか?それか、私たちが皆、欧州に行って、その商品で私たちの髪や体を洗えるようにするのが筋ではないでしょうか?栄養価の高い食べ物を美容品に変えたのは誰でしょう?それは民間企業です。
数百万人の苦痛よりも、利益を優先する民間企業。民間部門の支援に対する話もありますが、彼らこそ、お腹をすかせた子供から食べ物を略奪し、子供を飢え死にさせてまでも、利益のために食糧を美容製品に変えている張本人なのです。卵、カカオ、牛乳、すべての果物がシャンプーの原材料として使用されているのです!
移民を助長している既存の政策について触れたいと思います。本会議の目的は、移民問題を提起および解決することです。しかしながら、本目的に反し、移民を促進する政治・行政的な取り組みが見受けられます。
バルセロナ・プロセスについて挙げてみましょう。本枠組には、北アフリカ、中東、欧州、地中海の諸国が参画しています。よって、バルセロナ・プロセスの傘下にある一国民として、私には欧州に移住する権利があります。
バルセロナ・プロセスは、協力、貧困撲滅、移住と労働力の自由を求める枠組ではなかったでしょうか?
相互援助と平和的共存を主張したものではなかったでしょうか?単一議会の設立と法の調和、加盟諸国間の格差を埋めること を目的としてものでなかったのでしょうか?あなた方が富裕国、我々が貧困国という状況で、どうやって我々の差を埋めることができましょうか?我々もあなた方のように裕福にならなくてはいけない。それならば、欧州国民のあなた方がその富を、我々のようなアフリカ国民と共有しなければならないのです。
バルセロナ・プロセスは、こうした考え方を助長するものです。本プロセスを開始しておきながら、それがもたらす当然の結果に反対するとはどうしたことでしょうか?本会合は、バルセロナ・プロセスの精神に反するものです。
同プロセスの精神とは、統合を奨励し、我々が数百万人で欧州に移住することを容認するものです。いっそのこと、バルセロナ・プロセスを破棄すれば宜しい。そうすれば、欧州とアフリカは海を隔てた二つのまったく違う大陸だと主張することができる。このプロセスを無効にしてこそ、我々が個別の大陸であり、一つの統合体ではない旨を受け入れることができるのです。しかし、欧州・地中海の協力体制について話すとき、皆さんはリビアが欧州の一員だと言います。欧州の一員であるリビアという位置付けです。
バルセルナ・プロセスに基づくのであれば、私にはスカンジナビア半島まで行く権利があります。これが容認できないというなら、矛盾を孕む本プロセスは中止しなければなりません。
本枠組内で新しい概念が提案されています。EUが策定した欧州近隣政策です。これはバルセロナ・プロセスと同様に面白い。もしバルセロナ・プロセスを成功させたいなら、その結果を私達に享受させていただきたい。しかし、それを奴隷制度や植民地主義のようなものにしてはならない。そうなればあなた方にとっては良いが、我々にとっては害悪です。
アルジェリア、モロッコ、チュニジア、エジプト、ヨルダンは、この新政策下において欧州の「隣国」となりました。隣国になるということは、互いへの権利と義務を請け負うことです。必要となれば、隣人に助けを求めに行くことができる。お隣さんなら、こう言うこともできるでしょう。「隣からやって来ました。」「隣まで行ってきます。」 この隣人とは誰でしょう?我々を隣人として受け入れてくれたヨーロッパ人です。アルジェリア、モロッコ、チュニジア、エジプト、中東にあるヨルダンでさえも、あなた方の隣人だと認めてくれたのではないでしょうか?それならば、これら諸国の国民は、隣人である欧州に行く権利があるのです。
これら枠組(バルセロナ・プロセス、欧州近隣政策、欧州・地中海協力)が生れた結果、本枠組に参加していないアフリカ人までもが、新しい「近隣国」を通過して欧州に行こうと試みています。バルセロナ・プロセスに参加していないアフリカ諸国の人々が、同プロセスの加盟国に向かい、そこを通過点として欧州に入国しようとします。
「どこから来ましたか?」「アルジェリアから。」この移民は答えます。「なぜ欧州に来たのですか?」「アルジェリアはバルセロナ・プロセスの加盟国だからです。このプロセスには欧州と地中海が参加しており、私は地中海出身です。何故、移住を阻むのですか?私は、バルセロナ・プロセスと欧州近隣政策に則り、ここに住むためにやって来たのです」
その他にも「地中海パートナーシップ」というのがあります。パートナーシップとは、パートナーとしてすべてを共有するという意味です。あなた方が富裕国、我々が貧困国という状態で、パートナーシップについて話す場合、あなた方は自身の富を我々と共有しなければなりません。これこそがパートナーシップの真意であります。これが、北アフリカ諸国に提案されたパートナーシップの意味するところではないのでしょうか?そうならば、パートナーとして、我々にすべてを共有させてください。
こうした政策は魅力的なスローガンです。誰も反論することなどできません。しかしながら、これらのスローガンは、隠れた動機と二重の基準に基づき作られたもので、国際協力を蝕むものです。これらの矛盾は、国際政治の深刻な脅威となっています。パートナーシップについて協議するものの、共有はできないと言う。来たところに戻れと言う。パートナーだと言ったのはあなた方でないですか?真剣に決議を採択しようというのなら、パートナーシップ、近隣政策、バルセロナ・プロセス等の全枠組を放棄しなければならない。認可したビザは撤回しなければならない。
この中でも、移民を最も奨励しているのは シェンゲンビザです。一番近い欧州国に着けば、そこから欧州全域に入国可能となります。よって、欧州国に着きさえすれば安堵の息をつけるわけです。
シェンゲン協定に基づき、欧州諸国間の入国にビザは必要ありません。この協定を無効にしているのなら、移民が増えるのは何故かとぼやくこともできましょう。しかし、欧州への扉を全開にしているのはあなた方です。ビザを撤回するべきです。誰かがドイツに行こうとして、「どうやって行こうか」と考えているとしましょう。フランスまで海を渡って、そこからドイツに行けばいいのです。
シェンゲン協定下ではそれが可能です。 シェンゲン協定が無効だと知っていれば、考え直しもするでしょう。もし国境やビザの要件があれば、フランスからドイツまで行くことはできない。こうした障害があれば、人々がガーナ、モザンビーク、ジンバブエといった国々から出発することを思い留まるはずです。彼らは、欧州に行くのは簡単だと思っているのです。
たとえ泳いででも、一番近い欧州の国にさえ辿りつけばいい。そこに一旦着いたら、欧州のどの国にでも行くことができる。移民を止めるには、シェンゲンビザを中止しないといけません。そうしなければ、「移民が増えるのは何故か」などという愚問をしてはなりません。リビアも、アラブおよび非アラブ諸国とのビザ要件を再設定しなければなりません。 現在、あらゆるアラブ人がビザなしにリビアに入国できます。リビアはアラブ国であり、アラブ連盟の加盟国です。リビアは、豊かな産油国であり、貧困のない小人口国です。多くのアラブ人が来たいと思うのは当然です。
しかし実際のところ、彼らの目的地はリビアではありません。彼らは、リビアから欧州を目指します。統計では、リビアを経由する移民の8割はアラブ人、残りの2割がアフリカ人です。入国ビザがいらないリビアを利用しているのです。そこから彼らは、ギャングや密輸人、ボート、エージェントを見つけて、欧州へ向かいます。リビア国内でも、同問題に対する捜査を開始しています。
リビアの政府職員が賄賂を受け取り、密輸活動に関与していたという事件が発覚しています。彼らは、エジプト、チュニジア、アルジェリア、モロッコ、その他のアフリカや欧州諸国からの移民と、マフィアやギャングを形成していました。エジプトやリビアの男性が、欧州の観光客と結婚するケースもあります。よって、夫が欧州への法的入国手段を得ることができるのです。
皆さんもご存じかとは思いますが、法律を何とか掻い潜る方法は山ほどあります。到着後に自分のパスポートを破棄し、その国の世話になるというケースもあります。
人権、亡命の権利、移民の権利、差別や人種差別の撲滅を求める声がありますが、これらは素晴らしい人道的かつ革命的なスローガンです。しかし、これらも移民を助長する要素の一つなのです。
移民を制限したいのであれば、この側面にも目を向けなければなりません。 誰もが難民として認定され、欧州到着後に毎月生活費を受け取ることができるのであれば、何千人もが欧州に流入することでしょう。
亡命の権利を堕落させたのはあなた方です。難民または政治難民は、明確に定義されています。犯罪者はこれを利用し、民主党議長と身分を偽り、スイスなどの国に行って、自国で迫害されていると主張します。
そうすれば、政治難民として財務支援を受けることができるのです。この犯罪者がスイスで幸せに楽しく暮らしているのを知れば、誰もがこの前例に従おうと思うでしょう。
全ての犯罪者、窃盗犯、すべての「野良犬」が、同じことをしようと目論むはずです。文書を偽造し、自国で迫害を受けていると主張します。こうした犯罪者が、人権や自由といった類の知恵を付ければ、トラックに飛び乗って、難民保護を受けるために人権や自由の主張をすることでしょう。こうした風潮が、同じような行為を助長しているのです。
政治難民とは誰でしょうか?政治に関与する人でしょうか?閣僚、大統領、王、議員、外交特権を持った人、政党の一員など、政治的理由から自国で迫害を受けている人達でしょうか?
このような人達が、他国に亡命すれば受け入れられるでしょう。しかし、自国で殺人や暗殺を犯した者が、捕まりそうになったら欧州に逃げ、政治難民として扱われるのは茶番です。自国で政治的地位にない者が、自国から逃亡し、政治難民保護を求めるのです。政治家ではなく、ただの野良犬です。彼らを政治難民として受け入れることなどできましょうか?これと同じような方法で、大勢が欧州永住を企んでいるのです。
欧州は、政治難民を検討・定義し直す必要があります。詐欺師を政治難民にすることができましょうか?政治難民保護を受け、テロリストになった人々を見てごらんなさい。欧州諸国のあなた方には、単純な選択肢があります。人権などのスローガンに忠実になり、移民問題の議論を止め、欧州にやって来る無数の移民をすべて受け入れる。それが一つ目。
もしくは、これらのスローガンや方針を再検討し、移民を助長している全ての法の抜け穴を閉じる。移民に対処するための安全保障面での取り組みは失敗に終わっています。リビアの国境線は6000キロに及びます。チャド、ニジェール、スーダン、その他の周辺国に対する政府補助の安い食糧の密輸を防止することはできません。NATOに支援を求めようが、どのような手を打とうが、国境線の活動を抑制することはできません。
現実を受け入れることも一つの手です。移民を、歴史的、精神的、経済的背景に基づく自然現象として受け入れてしまう。津波や自然現象を受け入れるのと同じように、この現象を受け入れるのも一つの方法です。
それならば、このような会議に時間を割く理由もなくなります。受け入れるか、移民を助長している原因を解消するかのどちらかです。新しい原因は周知の通り。ビザの問題、バルセロナ・プロセス、欧州・地中海協力、パートナーシップ、人権、政治難民の認定方法、移民の権利、難民の権利など、移民を招く要因は全て排除しなければなりません。移民を促さないよう、これらすべてを再検討するのです。あなた方の行動と既存の政策や枠組の全てが移民増加に寄与しています。それであなた方は、何故移民問題があるのかと尋ねる。空腹の動物の近くに食糧があれば、絶対にそれを取りに行くでしょう。そうしない訳がない。食糧があるところに行くというのが自然なのです。
人々が欧州に押し寄せるのは、あなた方の採択した政策のすべてがそれを後押ししているからです。バルセロナ・プロセス、欧州・地中海協力、略奪、シングルビザ、人権、難民の権利、他の様々な権利、市民社会組織、その他の既存の色々な要素のすべてが移民を煽り立てているのです。
これらすべての要因は、本会議の目的を阻むものです。言語の問題さえもこれに加担しています。ナイジェリアは英語圏ですが、それならナイジェリア人が英国に行けないのはどうしてでしょうか?その言語と文化を共有しているなら、英国に行くのを拒まれるのは何故でしょうか?
ガーナも英語圏です。ガーナ人が英国に行けないのは何故でしょうか?英国植民地として、圧制され、奴隷化され、英語という言語の使用が強いられました。この背景(同じ言語を話すという)が、英国に行く権利要請という問題を生み出すなど、誰も想定していなかったでしょう。
フランス語圏の人々も同じことです。移民に対抗する本会議がなぜ開催されたのか、彼らは理解に苦しむでしょう。彼らはフランス語圏の人間なので、フランスに行く権利があると主張するはずです。同じ言語と文化を共有しているのだから同じ人間なのだ、と言うはずです。この会議の目的は一体何なのでしょうか?こんな会議など止めてしまえば、フランスに直に行くことができる。
こうした事実を皆さんは知っているのに、否定の道を選んでいます。この事実を知らないと言うなら、それは悲劇です。他にも、移民関連で危惧すべき点があります。世界地図を見てみてください。移民の出発国と目的国を見てください。大半の移民はアジアから出発しています。
アジア移民は全世界に広がります。移民の波は、人口を吸い込むところに流れていくのです。 本日、皆さんは、アフリカからの欧州に対する移民問題について協議されています。しかし、近い将来、アフリカと欧州は、アジアからの移民の波という新しい問題に直面するでしょう。中国、インド洋、東アジアの爆発的な人口増加の結果、移民がイナゴの群れのようにやってきます。地図を見れば、この脅威をはっきりと理解できるでしょう。この課題にどうやって対処するとご提案なさるつもりですか?
アフリカから欧州への移民問題を話合うために皆さん集まられた。しかし、天文学的な数の人の大洪水が、今、我々に襲いかかろうとしています。聖書のゴグとマゴグのように、彼らはやって来ます。全世界を前に私は警笛を鳴らしています。アジアにおける爆発的な人口増加は、新たな重大課題であり、アフリカや欧州を飲み込むものです。これを思い留め、私の証人となってください。
移民増加のもう一つの原因を、地図から把握することができます。現在のイラクおよび湾岸諸国、中東、トルコやイランのクルド地域における軍事介入、そしてアフリカの角の状況はすべて、移民増加を誘発しています。フィリピン南部、タイ南部、チェチェン、中央アフリカの五大湖地域、コートジボワール、アフリカの角、チャド、スーダンなどで勃発する多く市民紛争も同様です。 これらの紛争も移民を増加させます。この黒幕は誰でしょう。植民地主義を形成し、世界の混乱を招いたのと同じ首謀者が、この市民紛争の黒幕です。 民間企業、武器メーカー、武器商人が、こうした紛争から利益を得ているのです。
欧州の諜報機関は、ある要員を任命し、訓練し、資金を提供し、世界のある場所で民族戦争、国境紛争、民族紛争、宗教戦争を開始する任務を与えます。戦争が本格化すれば、武器商人や兵器メーカーが利益を得ることができます。
さらに、国際介入の都合の良い口実にもなります。ブルーヘルメットの参加国、国連でさえも利益を得ることができる。これは大きなビジネスです。戦争が勃発すると、国連は7万人の平和維持活動の人員を現地に派遣します。これに必要な金銭は国連に渡ります。活動に100億ドルいるのであれば、国連は60億を使って残りの40億を手中に入れる。国連ですら、戦争の商人となり、コミッションで働くエージェントとなったのです。
まとめに移りますが、私の言ったことで混乱や誤解を招きたくはありません。士気を消失するつもりも、移民対抗策に反対する気もありません。 逆に、皆さんに賛同しているのです。移民問題の終息を願っているのです。リビアは、移民による深刻な影響を受けている国の一つなのですから。
移民はリビアの資源を枯渇しています。移民は、リビア人の2倍または3倍の数に達しています。我々が彼らに食糧、住居、運送手段を提供し、国家予算を割いた安価な物資を提供しているのです。この問題の解決策を見いだせることを心より願っています。
皆さんに実直にお話をしました。解決策を見出すため、真実を露呈し、皆さんの前に提示しました。これが私の誠実さの証明です。患者に手術が必要なら、鎮痛剤をあげることなどできません。それは相手を騙すことであり、無知な人間のすることです。誠実さとは、医師が患者に正直に病状の説明をすることです。そして、鎮痛剤以上の大手術が必要だということを伝えることです。
私の目的は、真実を皆さんの目の前に提示することです。地球は人類のものです。全大陸の住民は、皆、元々は移民だったのです。これを覚えておく必要があります。先に話した奴隷時代、植民地主義、資源の略奪といった背景 も考慮する必要があります。何百万人の命を奪った第一次および第二次世界大戦と、それにより欧州やその他諸国への移民が助長された事実も無視してはなりません。こうした戦争の理由と原因を覚えておかなくてはなりません。
各植民地国に他言語を課したのは、植民地支配国です。アフリカ人と欧州人は同じ大陸に住む、同じ人間だという印象を与えたのは彼らです。ベルギーのコンゴ、イタリアのリビア、フランスのスーダン、英国のスーダン、フランスのアルジェリアと言っておきながら、アフリカと欧州が二つの異なる大陸だと言うことができましょうか?植民地主義こそ、人々に「母なる国」に行く権利を印象付けた、そもそもの原因です。
さらに、シングルビザ、バルセロナ・プロセス、欧州・地中海協力とパートナーシップ、人権、難民の権利の主張といった先に述べた問題も、移民増加を助長してきたと言わざるを得ません。すべてを皆さんに率直にお話しましたが、これは皆さんの任務をお手伝いするためのことです。問題解決を望むなら、これらの事実に取り組む必要があります。
成功をお祈りします。皆さまの上に神の平安と祝福あれ。
世界が現在直面しているテロの危機に対する指導者の分析
この問題には2つの側面がある。 1.アメリカに対する攻撃。政治の首都であるワシントンDCと経済の中枢であるニューヨークが共に、前もって綿密に計画され、きわめて暴力的で…