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記事 - 20 4月، 2024

朝鮮問題の解決策

朝鮮統一問題が再び、国際政治への危険性を孕んだ悩みの種となっている。同問題は、第二次世界大戦またはそれ以前の出来事に端を発する非常にデリケートな問題として常に潜在し続けてきた。第二次世界大戦後、ドイツはソ連統治下の東ドイツ(ドイツ民主共和国)と米国統治下の西ドイツ(ドイツ連邦共和国)に分裂。同様に朝鮮半島も、ソ連統治下の北朝鮮と米国統治下の韓国の二ヵ国に分断されたのだ。

 

朝鮮問題はデリケートな問題だと述べたが、これには次の理由が挙げられる。

 

1.朝鮮半島は周辺大国から侵略対象とされ続けてきた。同半島に劇的な状況変化があれば、周辺国の野望を再燃させる可能性がある。朝鮮半島は、紀元前1世紀に中国に支配され、16世紀には日本の侵略を受けた。20世紀初頭に始まった日本統治時代は第二次世界大戦の終焉まで続いた。米国及び欧州も朝鮮半島への関与を続けている。

 

  1. 朝鮮半島の周辺国は対立関係にある。

 

3.米国と欧州諸国は朝鮮半島から地理的に離れているが、朝鮮半島を取り巻く周辺国の行動を放置できない。

 

4.北朝鮮は未だ共産主義国であり、これが資本主義国の神経を逆なでしている。

 

5.北朝鮮は、核保有国である中国(イエロー・ジャイアント)と一定の同盟関係を維持している。北朝鮮との政治的摩擦が生じた際には、中国の位置関係を十分に配慮しなければならない。

 

6.北朝鮮は核クラブの一員である。日本や米国に到達可能な弾道ミサイルを輸入でなく、製造しているのは確実である。

 

7.北朝鮮の兵力は、予備役450万人を抱えるアジアで最大規模(地上軍歩兵兵力100万人)と見なされている。

 

8.上記の理由から、北朝鮮は韓国や日本などの米国同盟国の脅威となっている。これは第二次世界大戦後から両国に駐屯する米軍の脅威でもある。

 

9.韓国に対する北朝鮮とその同盟国の脅威は、韓国に駐屯する米軍4万人の脅威である。

 

10.同様に、日本が直面するあらゆる脅威は、在日米軍の脅威である。

 

11.ドイツ再統一とベルリンの壁崩壊は、北朝鮮及び韓国の国民感情を再燃させた。東西ドイツが統一できたのに、何故、南北朝鮮は再統一できないのか?ベルリンの壁は崩壊したのに、米軍が軍事境界線に敷設した世界最大級の地雷区は排除されないのか?

 

12.南北朝鮮が統一すれば、二つの中国(台湾と中国本土)の統一に影響を与える可能性がある。

 

13.軍事による朝鮮統一の試みは、すべて失敗に終わった。良好な内政情勢に乗じ、50年代初頭に金日成首相が朝鮮統一に乗り出した際、次の事柄が生じた。

 

1.この統一プロセスは、米国率いる19ヵ国との交戦を招いた。

 

  1. 国連安保理は、朝鮮統一に向けた武力攻撃を否認する決議を採択。

 

3.米大統領トルーマンは、朝鮮の武力統一を未然に防ぐよう在日米軍に指令。

 

  1. 中国も同紛争に広範に参戦。

 

5.局所的(地域的)な世界戦争が勃発。両首都は交互に制圧されたが軍事による朝鮮統一は実現しなかった。結果、1000機の軍用機、鉄道、発電所、工場が失われ、400万人が負傷した。

 

よって、朝鮮半島を武力、挑発、恐怖で再統一しようとする試みは、必ず不成功に終わる。これは真実であり、歴史からの教訓である。これを無視する者は愚かである。

 

200万人の兵士及び約900万人の予備兵と韓国または北朝鮮と同盟関係にある核保有国の兵士間の闘争を招く行為は、危険且つ見当違いの戦略である。

 

平和な統一:

 

統一実現を下支えする要因を次にまとめる。

 

1.すべての南北朝鮮人は、モンゴル人種である。

 

  1. 4世紀から、仏教、儒教、地方信仰という同じ宗教を共有してきた。

 

3.仏教、儒教、地方信仰ならびに中国と日本の影響など、同じ文化的影響を受けてきた。

 

  1. 7世紀より、朝鮮半島は一つの国として統一されてきた。

 

  1. 朝鮮統一を正当化するその他の実質的な要因は次の通り。

 

* 両国の人口成長率は約1%。

 

* 両国ともに中央集権体制(地方省と市に分かれる)を有する。

 

* 両国国民の平均寿命はほぼ同じ。

 

* 都市化率は60%~80%と同水準。

* 両国共に、12歳までの無料義務教育制度。

 

6.統一朝鮮の工業生産高(鉄や鋼等)は、1億7000万トンとなることが推定され、世界第9位または10位の貿易国となることができる。

 

  1. 統一朝鮮の労働人口は3600万人となる。

8.統一後、特にエネルギー部門の統合で相互補完が実現できる。現在、韓国の原子力発電はエネルギー供給の40%を占めている。北朝鮮では水力発電が66%を占めるが、韓国ではたったの2%。北朝鮮に原子力発電所は1ヵ所しかない。

 

9.この平和的に統合された国家は、8~10港の主要な港湾を有することとなる。現在、各国には4港しかない。

 

10.統一朝鮮は、10万キロの道路及び鉄道ネットワークを有し、北部には約2000キロの河川ルートを持つことができる。

 

  1. 高等教育施設の数は1000校となる。

12.両国間の対立に費やされる軍事支出(国家予算の40%)を節約できる。

 

  1. 金正日総書記が統治する北朝鮮がよりオープンで柔軟化する。

 

他国の関与または監督下で実施された統一朝鮮会議はすべて、失敗に終わっている。他国が参戦した朝鮮戦争も同じ末路だった。55年間の沈黙を破り2000年に初めて南北首脳が会談した際、両首脳は「北と南はわが民族及び首脳の共同努力をもって、統一問題を自主的に解決することに合意する」と宣言した。

 

これこそが過去の教訓を踏まえた、国際社会と世界平和を愛する人々の支持に値する正当なアプローチである。

 

公平性を期すため、兄弟国である北朝鮮に対する韓国政府の姿勢はより寛大になったということを付言したい。韓国大統領による北朝鮮総書記の訪問や韓国の北朝鮮に対する災害救助支援がこれを証明している。

 

朝鮮統一に向けたいかなる国内外の試みも、軍事行為や武力や恐怖をちらつかせた脅しによる手法はすべて失敗に終わる。この戦略にはきっぱりと見切りをつけなければならない。

 

南北朝鮮人は、この問題について真剣に考えなければならない。分裂や戦争、互いの不幸に満悦する状態を助長することで何を失ったかを考え、統一がもたらす膨大な物質的および倫理的な利益と比較するべきである。さらに北朝鮮は、自制心を持ち、挑発的行為を自粛しなければならない。

 

両国は、韓国からの米軍撤退の見返りとして、北朝鮮の核開発放棄を保証できるよう一致団結しなければならない。朝鮮統一が実現すれば、北朝鮮には核兵器、韓国に米軍が不要となる。

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