Home スピーチ 地球サミット: アラル海
スピーチ - 20 4月، 2024

地球サミット: アラル海

アラル海は、かつて、世界で4番目の面積を誇る内陸湖だったが、今は8番目となっている。

 

灌漑を要する耕地面積は300万へクタールだったが、今では800万へクタールに増加している。

 

シルダリヤ川アムダリヤ川からアラル海に流れ込んでいた水量は60km3だったが、現在の流入水量はゼロとなっている。

 

アラル海南部の耕地の荒廃は非常に深刻だ。これは、強い北東風により飛散された塩分の堆積、ならびに、蒸発散作用とずさんな排水方式による塩分濃度の上昇によるものである。

 

アムダリヤ川のデルタ地帯北部の植生及び動物は、塩分濃度の上昇と水不足で深刻な打撃を受けている。

 

排水方式の劣化により地下水面が上昇し、塩分濃度は3倍に増加した。

 

老朽化した灌漑設備は、水資源の80%の浪費を招いている。

 

水深は70mから12mにまで浅くなっている。

 

アラル海までの距離は10キロだったが、湖が縮小したため、現在では70キロも離れている。

 

水域面積は6.4万km2から3万km2に縮小。

 

アムダリヤ川のデルタ地帯にあった50の湖は枯渇した。

 

耕地面積は55万へクタールから2万へクタールに減少。

 

アラル海は、3つの塩分濃度の高い湖に分断された。

 

アラル海は、かつて、冬にシベリアから吹き付ける冷風を防ぎ、夏には大気温度を下げる自然空調の役割を果たしていた。

 

しかし、この気候の効率性は破壊され、大陸性の気候に移行しつつある。このため、夏はより暑く雨が降らない上に、冬は長く極寒だ。植物の成長期が短くなったため、綿花栽培の存続が危ぶまれている。

 

アラル海の海底(300万ヘクタール)が露出し、塩分と有害な農薬残留物が風で周辺に飛散。7,000万トン以上の塩分と農薬残留物が周辺地域に集積している。これらは数千キロ先のベラルーシにまで到達している。

 

海岸線の大幅な後退により、港町ムイナクは半島と化した。

 

商業漁業も停止し、その結果、漁師3,000人に加え、数万人の住民が生計手段を失った。かつて、捕獲魚は20種類以上あったが、現在残るのは4種類だけである。漁業資源は5万トンとされていたが、現在では3,000トンにまで落ち込み、漁業を営む漁師の数は僅か250人となった。農場飼育のミンク毛皮の生産は壊滅したも同然だ。

 

漁肉缶詰業の経済活動も一時停止しており、生産高は3,000万から400万にまで激減。缶詰工場は、現在、同じく漁獲高が減少しているバルト海から魚を輸入している。

 

アラル海の破壊は経済的な打撃だけでなく、水および農産物の汚染による深刻な健康被害をも招いている。飲用水と野菜の汚染は深刻で、これらに含まれる有害な鉱物成分、塩分、殺虫剤の量は劇的に増加している。結果、妊産婦死亡率(出生10万人対)は120人、乳児死亡率(出生1,000人対)は60人に上昇した。

 

腎臓及び肝臓疾患、ガン、甲状腺及び関節の炎症疾患は40~60倍となっている。さらに、女性の血液内の鉛及び亜鉛含有率も増加し、貧血を患う女性の数は80%増となっている。死亡率は人口1,000人当たり100人に達した。医学研究によると、国際社会が本気で行動を起こし、アラル海を救うことで地域住民を救済しなければ、同地域の全住民は一世代で消滅するだろうと推定している。

 

莫大な量の汚染排水がアムダリヤ川に流れ込んでいる。10年以内に全域が不毛の砂漠に化すと予測する研究結果もある。これが現実化すれば、後戻りは不可能となる。

 

この早急な解決を要する人道的問題を、ヨハネスブルグ・サミットにて提起する。

Check Also

世界が現在直面しているテロの危機に対する指導者の分析

この問題には2つの側面がある。   1.アメリカに対する攻撃。政治の首都であるワシントンDCと経済の中枢であるニューヨークが共に、前もって綿密に計画され、きわめて暴力的で…