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記事 - 20 4月، 2024

トルコ、ヨーロッパ、ビンラディン派

トルコがEUに加盟すれば自国経済は潤うだろう。イスラム教国家であるトルコをトロイの木馬としてEUに送り込めるため、イスラム世界のメリットにもなる。しかし欧州側の利益を考えれば、トルコをNATOに加盟させ、軍事植民地および組織拠点とした方が賢明だ。トルコのEU加盟は欧州のメリットにならない。

 

アジアに根を下ろす樹木のようなトルコ。その枝はヨーロッパを辛うじてかする程度だ。慣習、伝統、歴史、文化、行動様式、意向の面から見ても、トルコは東欧に位置するスンニ派イスラム教国である。トルコが導入したラテンアルファベットも本当のラテン語ではなく、その正字法を改悪したものだ。

 

トルコは、偉大なるヒッタイト帝国の発祥地で、広大な領域を支配したオスマン帝国の中心地かつイスラムカリフ制の総本山であった。トルコには、欧州を侵略と占領の土地として見なしてきた歴史がある。

 

過去55年間、トルコは欧州の一員となることを切望してきたが、厳しい現実がその願いを圧倒し、実現には至っていない。

 

トルコのEU加盟は、血縁関係がなく、血液型も違う患者と臓器ドナー間で移植手術をしようとするのに似ている。互いの関係は、道の向かいに住んでいるというだけなのだ!

 

欧州、特にドイツは、安いトルコ系移民の労働力からメリットを受けることができるかもしれない。しかし、EU加盟国となったトルコからの移民労働者の流出となれば、欧州はこれを規制すべくある程度の権限を持つこととなるだろう。

 

逆行する東の国の参加で欧州は何を得ることができるのか?トルコの国民一人当たりの年間所得は7000ドル以下だ。欧州の国民所得は、スペインが最低で19000ドル、ドイツでは26000ドルに達している。乳児死亡率は、欧州諸国が1000人につき4人であるのに対し、トルコは45人だ。欧州で2~3%のインフレ率は、トルコでは70%に上る。

 

確かに大きな格差はあるが、こうした課題は時間とともに解決もできよう。しかし、欧州が容認してはならないのは、トルコがトロイの木馬となる危険性である。

 

問題になるのは、アタチュルク初代大統領と彼の信念を現代まで崇拝する老齢のトルコ政治家ではなく、若い世代だ。衛星放送やインターネットにアクセスできる若者は、いつでも直接、イスラム世界の学者やビンラディンから教義を受けることができる。この影響に歯止めをかけることはできない。

 

もし、数千ものトルコの若者が、ビンラディンやその擁護者、ムラー・オマル率いる集団から世界観を植え付けられたらどうなるか? 「もし」と言ったのは、ショックを和らげるためだ。こうした若者は、欧州を無信仰で武力支配の対象以外に価値のない土地と見なすだろう。ウィーンで足踏みしたオスマン帝国とは違い、彼らは大西洋を渡ろうとするに違いない。

 

これら若者は、「反対岸に人が住んでいるのなら、お前を渡り、人々を支配してイスラム信仰を強要する」と、太平洋岸で止まり、海に語りかけたアラブのウクバー・イブン・ナフィー指揮官を手本にするはずだ。ウクバーは、海の向こうにあるアメリカ大陸の存在を知らなかったが、現代の若者は、大西洋の向こうに何があるかを良く知っている。

 

彼らは、コーランに書かれるように死刑禁止に反対し、神が命じる窃盗犯の手首切断を主張する。密通した男女は容赦なく100回の鞭打ちだ。彼らにとってこれは、神がコーランにて命じる罰なのである。

 

欧州諸国でキリスト教の名が入った政党が禁止されていないのと同様に、トルコにおいてもイスラム教の名が入った政党を禁止することは容認されなくなる。

 

新たなイスラム過激派がトルコで勢力を増して街路を支配するようになり、イスラム教のシャリア法や神が定めた罰を明記しない規定を持つ組織への所属を禁止するはずだ。

 

避妊と家族計画は罪であり、これも完全禁止となる。欧州議会の多数決を得ることもできよう。一夫多妻制と重なり、トルコの人口はどの欧州諸国よりも増大するだろう。

 

アルカイダが支援するトルコのイスラミストは、アルバニアとボスニアにイスラム国家建設の計画を進める。無信仰の土地、欧州は、同地域内に生れた、イスラム世界を全面支援するイスラム国家からの圧力を受け、イスラム教の信仰または尊重を余儀なくされるだろう。イスラミストは、コーランの教えに基づき、これを自らの使命と見なしている。こうした思想は、滑稽で失笑に値すると考える者もいるだろう。しかし、イスラミストにとっては、これが神から与えられた使命なのである。

 

トルコの将来は、イスラミストの政党とビンラディン派の手に落ちる。特にトルコに新しく設立されたイスラミストの政党には、驚くほどの人数が入党している。数年の短い間で、百万の女性を含む数百万人で構成される政党も生れている。トルコがEU加盟を果たせば、ビンラディンとムラーは諸手を挙げて喜ぶに違いない。

 

さらにトルコは、クルド人問題、宗派争い、チグリス川およびユーフラテス川の水資源を巡る争いの可能性、イスラム諸国会議機構とイスラム途上国8カ国首脳会議への加盟、中央アジアのイスラム国家との連携や根深いつながり、といった紛糾しそうな厄介な問題をEUに持ち込むはずだ。

 

セルジューク人およびトルコ人は元々征服の民である。アナトリアやコンスタンチノープルを征服し、その征服軍はオーストリアにまで到達した。

 

本問題について、警笛を鳴らさないという選択もあった。この恐ろしいシナリオを露呈しないこともできた。しかし、世界の安定、特に地中海の平和と安全に対する私の責任を鑑み、これを公言することが私の義務であると考えた。南地中海諸国はアラブ国家である。

 

リビアの海岸線の総延長は2000キロ。地中海沿岸地域で起きることはすべて、リビアに影響する。戦略的に重要な同問題について、世界に対して明確に発言をする必要があった。その反響は、リビアと同地域国民の心を動かし、全世界を震撼させるだろう。手遅れになる前に、そして、同問題に関する重大な決定が下される前に、発言することが私の務めなのだ。

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